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胆嚢摘出(胆嚢粘液嚢腫)

今回ご紹介させていただくのは、10歳の柴犬の女の子です。急にぐったりしてご飯も食べないし、もどす、まったく動かないとご来院されました。

以前より胆泥症があり、内科治療により経過をみていた患者さんです。イヌの胆嚢は胆汁を貯めておく場所ですが、この胆嚢内容物の粘調度が増加することによって起こる胆汁鬱滞、胆嚢拡張胆嚢壁肥厚を示す病態を胆嚢粘液嚢腫といいます。この病気の症状は嘔吐や食欲不振が現れることもありますが、無症状に経過することも多いです。今回は慢性経過をたどっており内科的に管理していたものの、急性に胆管閉塞を起こして状態が急激に悪化しました。来院時には、ショック状態になっておりぐったりとしてまったく動けない状態でしたので緊急的に輸液し胆嚢摘出手術を実施しました。

血液検査からも黄疸がすでにでていて、肝臓の数値も高く危険な状態でした。

開腹してみたところ、胆嚢は重度に拡張し一部胆汁が漏れ腹膜炎による腹水も貯留していました。今回は、迅速に胆嚢を切除しカテーテルを総胆管に挿入して十二指腸へと総胆管が開通していることを洗浄しながら確認し、ドレーンを設置して閉腹しました。

こちらが摘出した胆嚢です。

 

 

 

 

 

 

 

この病態の治療として外科切除は長期的な予後は良好とされていますが、胆嚢全層壊死や壊死性胆嚢炎の組織型は予後不良とされており死亡率も高くなります。今回は食餌もとれない状態でしたので入院が必要となりましたが、術後翌日より肝数値やビリルビン値も低下し食欲も戻って元気に快復してくれました。お母さんが面会にみえると尻尾をふってとっても嬉しそうです。緊急手術でしたが、これでひとまず安心です。