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永久気管切開術(日帰り手術)

今回ご紹介させていただくのは、13才のフレンチブルドックの男の子です。

この患者さんはもともと咽頭喉頭部に疾患をかかえていた可能性はありましたが、急性に症状が悪化し咽頭付近の浮腫や炎症を呈し呼吸困難に陥り運ばれると同時に緊急手術が必要となりました。

当院へ到着した時にはすでに呼吸ができなくてチアノーゼの状態で意識がなく口から泡をふいていました。飼い主様もわんちゃんの急変にパニックになられていました。

永久気管切開術は主に上部気管閉塞疾患によって呼吸困難を生じた疾患が主な適応となります。手術手技はもとより術後の管理や合併症が問題となる事が多い為最終手段としての認識が強く今回も少しでも早く苦しい状態を改善するために実施しました。

まずはあおむけの状態で頚部からアプローチします。頚部皮膚を切開し気管を露出します。気管に穴を開け、皮膚に縫合して形成します。

 

 

 

 

 

 

 

 

術後はしばらく酸素化するうちに徐々に意識もとりもどし、心拍、呼吸も安定することが可能となりました。

なんといっても呼吸が可能となり意識をとりもどした患者さんをみて私達も飼い主様もひと安心で

病院への到着が少しでも遅れていたら助からなかったかもしれないと飼い主様もおっしゃられていました。

術後管理のポイントは感染をコントロールし粘膜の除去を丁寧にこまめに行う事です。

縫合部の壊死や狭窄には十分な注意が必要です。合併症のメインは皮膚の弛みによる気管開口孔の閉塞ですので、頚部の皮膚を部分的に切除しておく事も重要です。今回も皮膚の形成外科を加えることで大きな合併症もなく術後は安定して回復に向かいました。

自宅での管理法の指導などを適切に実施することで今回のような良い結果につながるのではないかと思います。