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口腔内扁平上皮癌

今回ご紹介させていただくのは、12才のシーズーの男の子です。

右上顎に腫瘍ができていて、顔をこすってしまっていて、食欲が徐々にへってきていると治療相談でご来院されました。かかりつけでは、膿かもと針をさして頂いたそうでしたが、膿ではなく腫瘍の疑いがあるといわれたそうです。

ここ1~2ヶ月で腫瘍が著しく増大し自壊しているようでした。当院の検査では右頬骨や眼窩骨にも影響を及ぼし骨がもろくなっている状態で口の中をよくみてみると、腫瘍がかなり増殖していてかなり厳しい状況でした。

また左下顎骨も同様の変化が生じていましたので、顔全体に浸潤しかなり進行した状況が示呈されました。特に顔の右半分は腫瘍の増殖が激しく、腫瘍によって、眼球が圧迫されていて顔の表面が自壊して感染をおこし膿がでてしまっていました。

 

 

 

 

 

 

 

このような場合、いろいろな治療の選択肢がありますのですべて説明させていただきました。

飼い主様は以前他のわんちゃんを癌で亡くされた経験があり、なんとかしてあげたいと積極的な手術を選択されました。

腫瘍は鼻腔内や右眼球直下まで及んでいたため上顎切除と眼球摘出も同時にせざるを得ませんでした。

また左下顎についても顎骨ごとすべて切除し下顎リンパ節も一緒に郭清しました。また大きく皮膚が欠損してしまう為、皮膚の転移手術も必要となりましたが、無事に手術を終える事が出来ました。

しばらく口から食餌ができないため、食道チューブの設置も重要となります。それでも5時間近い手術に小さい体でよく耐えてくれました。

術後は入院も必要となりましたが徐々に回復してくれ痛みから解放された様子です。

腫瘍は扁平上皮癌という悪性腫瘍なので今後は再発が懸念されます。

注意深い観察が必要ですが、家族の皆様とできるだけ長く一緒に生活できるようお手伝いさせて頂きたいとおもっています。